紫微垣(しびえん)
第9回

2011.11.26(土)19:00〜

講義内容                      
          西遊記
       〜仏教の教え貪・瞋・癡(とん・じん・ち)

〜プロローグ〜
 「西遊記」とは

TTVドラマとしての西遊記
 1.当時の国民的人気番組
 2.人気ロックグループ「ゴダイゴ」
 3.タケカワユキヒデという人物

U西遊記の世界
 1.斉天大聖孫悟空
 2.天蓬元帥猪八戒
 3.捲簾大将沙悟浄
 4.三蔵法師

V三毒について
 1.三毒〜貪・瞋・痴〜
 2.ドラマの出演者たち
 3.三毒の越え方

W涅槃寂静
 1.それぞれの行き着いた世界

 2.私達はいつまで苦しみ続けなければならないのか?

〜エピローグ〜
  歓談 
 




  

塾生からの感想

当時のドラマは、みんな演技力が素晴らしかった。
時代で言えば、今のほうが良くなっていて当然なのになんだか薄っぺらく感じてしまうのは、どうしてなんでしょう?

このドラマと原作のあいだに、そんなつながりがあるとは思いませんでした」

また、『西遊記』が観てみたくなりました。


塾長の言葉


 今回の参加者は、2人。私が子供の頃に観ていた『西遊記』をリアルタイムで観ていた世代ででの紫微垣です。ひっきりなしに質問と意見が飛び交うなか、和気あいあいと、許された時間めいっぱいを使って繰り広げられた、実に楽しい講義となりました。

 このテーマを考察しているうちに、西遊記の世界に私自身がどんどんのめりこんでしまい、中国の原作、またその物語が書かれた背景。仏教思想。道教思想。日本と中国の物語の違い。そしてあのTV番組が作らた当時のエピソード、出演者の現在、お話しは多岐に渡り、塾長、塾生関係なく、次から次へと展開していきました。

 もともと、私は、映画を作ることが夢でしたから、難しい歴史をただ懇々と講義しているよりは、物語の中に隠された、先人たちへの憧憬や、学びをこそ、紐解いていくほうが、性に合っているのです。

 昨日、NHKの大河ドラマ『江』が最終回を迎えましたけれども、このドラマのチーフディレクターであり、時代考証を行っている大森洋平さんは、このようなことを言っていました。

「時代劇はあくまでも歴史に仮託したフィクションであり、ファンタジーなので、もっと楽しんで見て欲しい」と。

 浄瑠璃で有名な近松門左衛は「虚実皮膜論」という芸術論を唱えました。
これは、史実そのままに舞台を演じても、それはどこか泥臭くなってしまい、事実の焼き直しに過ぎない。だからと言って、史実を無視してしまっては、その物語に対する深みが欠けてしまう。ゆえに、芸の面白さは虚と実との皮膜にあるのだとう考え方です。

 現代の世相が、非常に良くない時代ですからね。皆さん、美しく着飾っていらっしゃるのに、心のほうは、常に何かを求めていると。求めても求めても、現代の薄っぺらい文化の中に、それを見出すことが出来ないと。私はそう思うわけです。

 みんな夢を見たいのです。でも、私は、確証のない夢に我が心を馳せることがどうにも出来ない。ゆえに、その物語の背景にこそどうしても興味を持ってしまうのです。

 これが占い師であった私と、映画製作を夢見ていた私の、虚実かさなる確固とした信念ですね。


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