人生の書

22、奪いつくす者たちへ


 「成功を勝ち取る」意味を、私は安易に愛でることが出来ない。

 現代の一部分の成功は、誰かの犠牲の上に成り立っている成功である。


 親から奪い、成功だと喜びし者が多いなか、

 私は、親から与えられたのとおなじように、私も人に与えつくしていきたい


 それがこれからの私の残された人生の大いなる願いである。


 
 いまは、すでに多くのものを奪われて、わずかなものしか与えることが出来ないが、
本来、親から子への愛とは、無尽蔵に湧き出づるものである。


 奪うことしか知らない者は、たとえ子を生したとしても、永遠に親にはなれない。

 本当の繁栄とは、そうした繁栄でなければならない。



 いま、無きことに嘆くなかれ。私も嘆くのは辞めよう。

 人はすべてを失った時、すでにすべてを得るのである。

 そこに待っているのは、死ではなく、生かされていることの気づきである。



 生きよ、生きよ、そして生かせ。

 周囲の者も、見知らぬ者も、すべて大切な仲間である。

 大地は、すべてのものを養える、不思議な力を持っている。

 「社会」や「常識」に縛られて、与えられた命の光明を消してはいけない。

 これは、ここに生きるすべての命ある者たちに共通した、真の理(ことわり)である。





                         2012.12.25 寺千代

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