人生の書

1、出来ないことは出来ない

 人にはね、その人だけに備わった特別な力があることもあるし、
反対に、人が普通に出来ることが、どうしても自分には出来ないってことがあります。

 恥ずかしいし、苦しいし、みじめだしね。
 そんな体験を、私も嫌というほどしてきましたね。

 でも、そんな私が、どうやったら人様の役に立てるんだろう。
 どうしたら、自信を持って、人様と対等に向かうことが出来るんだろうって、
 そんなことばかり考えていました。

「出来ないって才能よね」
 そんな言葉を発した、人生の先輩もいらっしゃいます。
 その方はこう言います。
「だってね、出来なければ周りが助けてくれるじゃない」

 周りに迷惑をかけてはいけない。
 しっかりしなくてはならない。
 子供のお手本にならなくてはならない。
 良き、妻や夫でなければならない。

 いま、皆さんがこうやってギチギチに思考で固めてしまってね、
それで良い時代かと言うと、結局選択肢が狭くなってしまい、生きづらいというね。

 もっと大らかに生きたっていいと思うんですよね。

 野の草や、木や、鳥たちを見ていてもね、
自分が生きていることを疑問に感じている存在なんてありません。
 人間だけですね。生きることに罪悪感を感じるのは。

 よく、かぼちゃはナスになれないなんて言いますけれど、
 かぼちゃはかぼちゃ。ナスにはナスの良いところがあってね、
 それぞれ形も味も、お料理の仕方もみんな違っていて、
 それが大好きな人も、大嫌いな人もいますけど、
 それでかぼちゃやナスが、悲しむかと言うとそんなことはなくてね、
かぼちゃは、凛としてかぼちゃだし、ナスは毅然としてナスで居続けますね。

 自信をなくした、かぼちゃやナスってどんなか想像出来ますか?

 みんなそれぞれの役割を持って、堂々と生き、そして堂々とその役割を果たしていくんです。
 甘いから良い、苦いから悪いってことないですよね。
 「良薬は口に苦し」っていうけれど、あれは嘘だと思うんです。
 口に甘くって、それでいて本当によく効くお薬があったら、それは最高のお薬だと思いませんか?
 もちろん、好みはありますけれど。

 大切なことは、中心を得ているということなんです。
 中心さえ得ていれば、何をやっても喜びとなるし、人にだって夢を与えられます。

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