私塾 紫微垣

春の七草

姿 名称 説明
芹(せり)
別名:白根草
(シロネグサ)
まるで競い合う(競り)ように咲いていることから、セリと呼びます。

高さ約30センチ。

小川の淵や、あぜ道など土壌水分の多い場所に群生します。
 独特の香りがあって、七草粥などの食用に使うものは、春先の若い茎の部分を使います。

スーパーなどでは、栽培されたものが売られていますが、自身で野外で摘む場合は、形状の似ているドクゼリや、キツネノボタンには注意が必要です。セリに似たこの2つの草は、同じような場所に生える毒草である。

詳細は、植物辞典などをご参照ください。
薺(なずな)

別名:ぺんぺん草
三味線草(しゃみせんぐさ)
花の下についている小さな果実が、三味線のバチ(撥)に似ていることから、ペンペングサ。または、三味線草とも呼ばれます。

小学校に入って初めてのクラスで、校庭で「春を見つける」という作文を書いた時、担任の先生が「これはぺんぺん草というんだよ」と教えてくれたのを良く覚えています。懐かしいですね。。

名前の由来は、<夏になると無くなる>夏無(なつな)という説がありますが、いかがでしょうか。
御形(ごぎょう)
   (おぎょう)

別名:母子草
(ははこぐさ)

モチバナ
モチグサ

御形(ゴギョウ。またはオギョウ)とは、厄払いに使用される人形(ひとがた)の事です。
これは、母子の人形が、厄除けに使われていたという説から来ており、この草の別名を母子草(ははこぐさ)と呼ぶからです。

人形(ひとがた)とは、ひな祭りに使用される、雛人形の前身です。人の形をした紙で出来ており、各地の神社では、今でもお祓いに使われています。
鳥取県の流し雛は、この形状を留めた人形(にんぎょう)としていて、興味深いものです。

お雛様に使われる「菱餅」は、現在5色の色が使われていますが、江戸時代には白と緑の二色だったのだとか。

この緑色を出すのに、餅と一緒に入れられるのが、蓬(よもぎ)。よもぎの前は、この母子草が使われていたのだそうです。

他に、白い毛の付いた種子がほうけ立つ様から「ホウケグサ」がなまったとも、言われ、さらには、同じ属にチチコグサという品種が存在します。
こちらは、ハハコグサに比較されるように付けられた植物ですが、花はいたって地味で、貧弱に見えます。
繁縷(はこべら)

別名:ハコベ
    コハコベ
ハコベとは、ナデシコ科ハコベ属の総称です。春の七草の繁縷(はこべら)は、このうちの「コハコベ」という品種になります。

こちらも小学校の頃のなつかしい草のひとつ。

鶏小屋の中にいる鶏に、えさと共にあげていたのがこのハコベでした。


↓食べられます○(春の七草「コオニタビラコ」)
ホトケノザ



↓食べられません×(三階草)
こちらもホトケノザ(別種)
仏の座(ほとけのざ)キク科

別名:田平子(タビラコ)
小鬼田平子(コオニタビラコ)
仏様の台座に使われている蓮(はす)の花に似ていることから、この名がつきました。

田んぼのあぜなどに生えている。 正式名称は、タビラコ、またはコオニタビラコ(キク科)と言います。

写真のようになって、葉が広がっている形状をロゼットと呼ぶのだそうです(たんぽぽもそうですね)。田平子。わかりやすいですね。


余談ですが、魚のタナゴのことを、別名田平子というそうです。どうしてなんでしょう?


現在、ホトケノザ(シソ科)別名:三階草(サンガイグサ)というまったく同名の草が、道端や田畑の畦で見られますが、全くの別種であって、食べられません。

観賞用です。
決して食べないように!  
菘(すずな)

別名:蕪(かぶ)
アブラナ科アブラナ属。
蕪(カブ)(カブラ)のことです。

菘(すずな)とは、鈴菜とも書くことから、鈴のまあるい形状をもって、この名がつけられたと推測します。

花言葉は、「奉仕」。

アブラナ科であることは、意外に思われるかもしれませんが、カブの種子には油分が豊富に含まれ、かつてはアブラナと並ぶ油用植物だったようです(現在はあまり知られていません)。


スズシロ(大根)の花

蘿蔔(すずしろ)
清白(すずしろ)

別名:
大根(だいこん)
アブラナ科ダイコン属。
大根です。

こちらもアブラナ科。そう、やはり種子から油が取れるそうです。

清白(すずしろ)と漢字で書くように、真っ白な大根が真っ先に目に浮かびますが、これは日本国内にあるほとんどの品種がそうだからで、実は多くの品種があるそうです。

皮の色は、白以外に赤・緑・紫・黄・黒などがあり、当然「細根」もあるわけです。

面白いですね。


 (写真をクリックすると、大きな写真をご覧いただけます)
画像提供:野に咲く花の写真館,photolibrary,草花写真館

   春の七草の覚え方

    『芹(せり)、薺(なずな)、
     御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座(ほとけのざ)、
     菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)これぞ七草』
                             
 『河海抄(かかいしょう)』(1362年頃)より


    古代の七草粥

   『延喜式』(905-967成立)において、現代知られているものとは違った七草ならぬ「七種粥」が
  登場する。それは、米・粟(あわ)・黍(きび)・稗(ひえ)・(みの)→(現代の「六折草<むつお
  れぐさ>」か?)・胡麻・小豆の七種の穀物を混ぜた粥である。

   これは「餅がゆ(望がゆ)」と呼ばれ、毎年1月15日に食され、七草粥とおなじくこれを食すれば
  邪気を払えると考えられていたようである。

   下級職の者達は、七種を混ぜることなく、小豆だけを混ぜた小豆粥が振舞われたそうだが、こ
  れは現代でも小豆粥の日として風習が残されている由縁である。


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