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私たちの願い 〜未来へ生きるひとたちへ〜

 僕たちは、過去から受け継がれた、「心」のバトンランナー
    ちょっと不思議な話しをします。   過去と現在と未来。
 私たちは皆、それぞれが違う年  齢ですが、今(現在)という共通  の時間を生きています。思ってい ることや考え方は違っていても、 ひとつの場所で、ひとつのお話し を聴く時には、みんながおなじ
 ものを見たり聞いたりすることが
                              出来ます。
  10年で、まったく変わってしまうものもあれば、100年経っても、何も変わらないものもあります。

  たとえば、クラシック劇場に登場した「ねずみとライオン」というお話しは、イソップという人が書いたとされていますが、このイソップという人は、なんと!2500年も前に生きていた人なのです。もちろん、外国の言葉ですし、その頃の言葉と現代の言葉も違いますが、現代風に直せばきちんと読むことが出来ます。
    TVをつければ、色々なお話しや音楽がやっています。みんなの好きなお話しや音楽もあることでしょう。ところが、どんなに流行(はや)っているものでも、2,3年経つと消えてしまうのです。さらに、寺千代や久美さんが子供の頃には、TVをつけても、おじいちゃんおばあちゃんから、子供、孫まで、みんなが揃っておなじものを見て楽しめる番組がありましたけれど、いまはみなさん見るものがバラバラですよね。そのことをとても悲しく思います。

  ところが、クラシック劇場に登場してくるお話しは、あなたたちのおじいさんやおばあさん、さらに、その上のもっともっと古いおじいさんおばあさんもみんなが知っていた懐かしいお話しなのです。こういったお話しは、昔から親から子へ子から孫へと語り継がれてきました。ところが、みなさんがこういったお話しから離れてしまうと、せっかく千年、二千年と語り継がれてきた素敵なお話しも、未来には消えてなくなってしまうのです。300年、400年と奏(かな)でられてきたクラシック音楽もそうです。

  そして、大切なことは、昔のお話しがすべて語り継がれてきたのではないということ。中には、もう人々の記憶から消えてしまったお話しもあるのです。

  僕たちはマラソンランナー。人間ひとりで、300年も400年も生きることはできないけれど、親から子へ子から孫へと語り継がれていけば、大切なお話しは千年二千年と、ちょうどリレーマラソンでバトンを受け継いでいくように、長い長い距離を走リ抜けていくことが出来るのです。これって、素敵なことだと思いませんか?

 『時間』ってなんだろう?
  いま、これを読んでいるあなたは、何歳ですか?幾つになりましたか?
寺千代と久美さんは、もうすぐ50歳になろうとしています。一世紀が100年ということですから、寺千代も久美さんも、半世紀生きてきたことになります。

  いま、これを読んでいる人たちは、いまが少年少女かも知れない。10代の若者かも知れない。学校を卒業して、こういう世界が懐かしくって、ふいに開いてみた20代や30代かも知れない。いつのまにか自分も、子供を持つ親になったお父さんやお母さんかも知れない。でもね、みんな子供だった時代があります。そして、子供のあなたもいつか必ず大人になる時がやってくるのです。

  時間というものは不思議です。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうけれど、つらく悲しい時間は、なかなか過ぎていってはくれません。子供のあなたが過ごす1時間と、大人になったあなたが過ごす1時間は、決しておなじではありません。
それでも、たぶん、みんな公平に、時間というものは割り当てられているんだと、私は思います。

  泣いて過ごすも1時間、笑って過ごすも1時間、ゲームをやれば1時間くらいあっというまに過ぎてしまいますが、お話しや音楽を聞いている時間は、もしかしたら1年くらいに感じる人もいるかも知れません。お話しの中で、いま子供のあなたが大人になったり、もうすでに大人になったあなたが子供に帰っていくことさえ、出来るような気がします。

  幸せな人生とは、それぞれに与えられた時間を、あなたがどうやって幸せに使っていくか?ということではないでしょうか?

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